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アジア横断シルクロード日記


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現在地はどこなの?

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イスタンブール・ブルーモスク
2007年3月26日(月)
シルクロード

 古代、東で武帝が漢を治めていた頃、西でローマ帝国が栄華を誇っていた頃、東西を結ぶ交通路が何本かあった。 そのルートを通って、東からは絹や陶磁器、西からはガラス製品、金などが交易されていた。
 主な交通路は3通りあって、1つ目は『草原の道(ステップロード)』、2つ目は『オアシスの道(オアシスロード)』、3つ目は『海の道(マリンロード)』と呼ばれている。
 『海の道』と呼ばれている海上ルートは、『陶磁の道(セラミックロード)』と呼ばれることもあり、残り2つの陸ルートは一括りに『シルクロード』と呼ばれている。

 『ステップロード』は、ローマを出てアドリア海を渡り、ドナウ川を越え、ルーマニアとウクライナを斜めに横切り、ウラル山脈の南部を越えてカザフスタン北部を横断し、アルタイ山脈の北側を通ってモンゴル草原に入り、ゴビ砂漠の東端をかすめて北京に至る。
 『オアシスロード』は、ローマからコンスタンティノーブル(現イスタンブール)を経由してトルコを東に進み、カスピ海の南をテヘランを経由して北上し、パミール高原を越え、天山山脈を経て敦煌から長安または洛陽に至る。

 今回、俺は『オアシスロード』を通ってシルクロードを東に向かおうと思っている。 そして、最終的には“黄金の国ジパング”!!

 まずはカスピ海の南を占領しているイランという国のビザを取らないといけない。
 寝坊してギリギリだったが、何とか午前中に領事館に行ってビザ申請をした。 受け取りは明日の午前中だ。 1ヶ月のツーリスト・ビザを貰うのに50ユーロ(約7,750円)も払わないといけないのだが、マルコ・ポーロも払ったのかな?

 いよいよ明後日、出発です。

旅の出費
雑費: 0.4リラ
食費: 4.4リラ
証明写真: 5リラ
イラン・ビザ代: 50ユーロ
合計: 9.8リラ+50ユーロ(約8,620円)

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2007年3月27日(火)
準備万端だけど、やる気ナシ

 午前中にイラン・ビザを受け取る。
 これで、既にイラン、トルクメニスタン、ウズベキスタンのビザを持っている。 アゼルバイジャンのビザはグルジアで、アルメニアのビザは国境で、ナゴルノ・カラバフのビザはアルメニアで取得する。 タジキスタンのビザは、ウズベキスタンで取ろう。
 パスポートの残りページが少ないが、何とか日本に辿り着くまでは足りてくれるはずだ。

 正直言ってビザの準備は万端だが、移動を再開する気には全くならない。 面倒くさ過ぎる!
 非常に矛盾しているのだが、カフカス3国(グルジア、アルメニア、アゼルバイジャン)は興味があるのだが、行きたくはない。 だって大変そうじゃない?
 まぁ、それを言ってしまえば、中央アジアも興味はあるけど、出来れば行きたくない。
 だって辛そうじゃない?

 イスタンブールに合計44泊目になるが、色々な旅行者がやって来ては去って行った。 多分、100人以上の旅行者とは出会っているだろう。 ほとんど覚えてないけど。
 色々な旅行者がいたが、偶にいるのが「俺ってこんな大変な移動をして来たんだぜ」的な自慢話をする人。 そんなもん、ただ「俺ってマゾだから、いたぶられるのが好き」って告白してるようなもんで、なんで自慢できるわけ? 自慢どころか、俺は“大変な移動”はなるべく避けたい! 楽チンがいい! 金さえあったら、運転手付きリムジンで後部座席のソファーでブランデーを右手で転がしながら、左手には葉巻を挟んでシルクロードを横断してるぜ。
 くそー、金さえあれば・・・

 今後を考えれば考えるほどブルーになって、移動する気が失せてくる。
 でも、ここはタイミングが重要だ。
 今のタイミングでイスタンブールを出なかったら、あと数週間イスタンブールでダラダラして、結局「面倒くせーから飛行機で日本に帰っちゃおーっと!」となるパターンが必至だ。
 ついに決意を固めて、バスのチケットを買っちゃいました。 トルコの東を観光しながらグルジアに向かうのが面倒だったので、いきなりグルジアの首都トビリシまで一気に行っちゃいます。
 明日の夕方7時発の国際バスで、何時間かかるか知らないけど多分数十時間で、勝手に俺をグルジアまで運んで行ってくれる素敵なバスです。

 でも面倒くせー!!!
 半分、旅とかどーでもいい。 半分、意地。

旅の出費
雑費: 4リラ
トラム: 2.6リラ
タバコ: 4.6リラ
宿代(40泊分): 200ユーロ
国際バス(→トビリシ): 50リラ
合計: 61.2リラ+200ユーロ(約36,450円)

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2007年3月28日(水)
さよならイスタンブール

 あー、移動だ!!
 久しぶり(6週間以上ぶり)の移動って、何だかすごーく緊張する。 初めての海外旅行みたいな気分だ。

 イスタンブールだけに45日間もいて、観光したのはアヤ・ソフィアとガラタ塔だけという充実っぷりだったが、そんな思い出に浸っている余裕はない。
 そもそもが寝坊したー! 45日間チェックアウトとは無関係の生活をしていると、「チェックアウトって何?」って感じになって目が覚めたら、チェックアウト時間の10分前。
 だが、ここは慌ててはいけない。 まずはモーニング・タバコを一服・・・

 管理人さんにお願いして、ホントは駄目なんだけどチェックアウト後のシャワーと台所の使用を許可してもらった。 お米を研いで朝食を取った後、余ったお米でオニギリを6個握って今夜からの移動の食料にする。 さらには買出しに行って、これからの長距離移動に備えた食料品を揃える。

 一応、準備は万全なんだけれどやはり緊張する。 まぁ、一度でも移動してしまえば“旅行モード”に切り替わって普通になるんだろうけど。

 予定より30分遅れの7時半に出発したバスは、8時にポスポラス海峡を越えてアジアに入った。
 日記のタイトルを『ヨーロッパ旅行』から『アジア横断』に変えてから早6週間。 ようやくアジア入りです!

 バスは黒海沿いに東に向かって走る。 日本に向かっていますよ!

 写真は、イスタンブールで宿の皆と。 真夜中3時過ぎにガラタ橋まで散歩した時の写真。

旅の出費
トイレ: 1リラ
コピー: 2リラ
トラム: 1.3リラ
食費: 9.25リラ
タバコ: 4.6リラ
インターネット: 1リラ
合計: 19.15リラ(約1,700円)

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2007年3月29日(木)
グルジア入り

 『グルジア』にやって来た。 かつてはグルジア・ソビエト社会主義共和国として、ソビエト連邦に属していた国だ。
 去年12月のウクライナ以来の旧ソ連圏になる。
 グルジアは西を黒海に面し、北はロシア、東はアゼルバイジャン、南はトルコとアルメニアと国境を接している。

 ソ連崩壊後のグルジアは色々と大変だったみたいです。 まずは、大統領と反対勢力の間でいきなり内戦が勃発。 あっさりと負けた大統領だったが、権力への執着心からか?首都トビリシを取り戻すべく再度軍事行動に走った。 でも、あっさりと死んじゃった(元)大統領のおかげで、内戦は終結。
 その他にも、世界地図を見ても載っていないけど、グルジア国内には『(自称)アブハジア共和国』と『(自称)南オセチア共和国』という2つの自称国家が存在している。 どちらもグルジア政府の実効支配が及んでいない地域で、世界のどこも認めていないけど“国”です。

 今日は、ちょうど昼の12時に国境に着いた。
 トルコ側の出国手続きは非常に簡単だったが、グルジア側の入国手続きに時間が掛かった。 待っていた時間は、3時間以上。
 越境するバスは1台1台、隔離されて荷物チェックを受ける。 これに時間が掛かるので、先に待っていたバスの荷物チェックが終わるまでひたすら待たないといけないのだ。
 時間が掛かるだけで、グルジア入国に際して特に問題はなかった。 役人も賄賂を要求してくるわけではないし、俺の荷物は開けることさえなかった。

 国境からグルジアに入ると、旧共産圏の臭いがプンプンする景色が続く。 目に入るビルの90%が廃墟なのだ。 この寂れた感が、たまらなくソ連臭を醸し出している。
 独立後のごたごたで、国内経済は破綻。 一時は2万%のインフレを記録したらしいから、そのせいだろか? 道路から見える景色も、ウクライナやモルドバの田舎と似たような感じの悲しい寂しい雰囲気だ。

 バスが首都トビリシに到着したのは深夜12時、イスタンブールを発ってから42時間が経過していた。

 実は、グルジアは治安が悪いことで旅行者に知られている。 なぜか、皆さんナイフを持ち歩いているらしく、夜になると「金くれ!」と暴力乞食に変身するらしいです。 まぁ、“カフカスのナイロビ”みたいなイメージかしら? 夜になると人通りがぱったり途絶えるのもナイロビ風。

 そんなところに深夜12時に到着してしまった俺。
 仕方がないので、バスターミナル内にある宿泊所に1泊だけ泊まることにした。 ところが、これがまたビックリするほどしょぼいくせに高いと来た! どれだけしょぼいか?って、ドアの取っ手が壊れてないからね。 しかも内側から鍵は掛かるけど、外側から鍵は掛からない。 つまり、トイレやシャワーで外に出ている間は誰でも部屋に侵入可能。 それなのに1泊12USドルする・・・

旅の出費
ゼロ

トビリシ駅
2007年3月30日(金)
りららり

 トルコからグルジアに来て変わったこと。
 通貨単位が『リラ』から『ラリ』になった。

 バスターミナル内の宿泊所から、マルシュルートカ(ミニバスのこと)に乗りトビリシ市内に向かう。
 宿を変えてから市内をちょこっと散策。 トビリシ駅(写真)周辺にあるバザールをブラブラしてみた。 肉・野菜・魚・生活用品と、一通りの物は揃う大きなバザールだ。 野菜の種類も、トルコよりも若干豊富のような気がした。
 バザール内を歩いていると、野菜売りの親父が俺を呼び止めた。 ニッコニコしながら、俺に一生懸命「チンチュンチョン」言ってくる。 なぜか、世界のかなりの広範囲(第三世界限定)で中国人は「チンチュンチョン」呼ばわりされている。 馬鹿にして言ってる場合もあるが、ただ中国人を見れば「チンチュンチョン」と言うものだと思っているだけの人もいる。
 野菜売りの親父もニッコニコしながら「チンチュンチョン」言ってるし、悪意があって言っているわけではなさそうだ。 そもそも、俺は中国人じゃねーしな。
 よく旅行者同士で「チンチュンチョン」の意味を語り合ったことがあるが、未だに意味が分からん。 知ってる人がいたら教えてください。

 散歩をしていて思ったのだが、グルジアは美人が多い。 アルメニアも美人が多いと聞くが、アルメニア人って眉毛が繋がってるからなぁ〜・・・ イスタンブールからのバスにアルメニア人の女の人が乗っていたんだけど、スタイルも顔もバッチリだったけど、眉毛だけが『こち亀』の両さんだった・・・ 思いっきり繋がってます! しかも濃い! プププってなるよ。
 俺、個人的には眉毛が繋がってない方が好きです。

 夜はバザール近くにあるお惣菜屋さんに行って、夕食を買った。 サラダなどなら1品0.5ラリ(約35円)、ハンバーグなど肉類なら1品1ラリ(約70円)で買える。
 こりゃ自炊するよりも安い!
 見た目が雑炊みたいなご飯と、ジャガイモと玉ねぎをオイルと香草で合えたサラダと、鶏肉を買って今日の夕食は合計140円なり。

 お味は・・・
 ご飯は「何じゃ、こりゃー!!」って感じで、食えず捨てました。 だって、米にハチミツを入れて炊いてるっぽいんだもん。 甘すぎて気持ち悪い。
 それ以外は、大変美味しゅうございました。

旅の出費
食費: 2ラリ
インターネット: 2ラリ
宿代(1泊分): 20ラリ
マルシュルートカ: 0.5ラリ

合計: 24.5ラリ(約1,740円)

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2007年3月31日(土)
殺意あるドア

 グルジアは、アルファベットでもなくキリル文字でもなく、独自のグルジア文字を持っている。 ロシア、ベラルーシ、ウクライナと旅して、何とかキリル文字を読めるようにはなったが、グルジア文字はキリル文字とも違うヘンチクリンな形をした文字で読めない。 覚える気がないので、今後も覚えることはないと思うが、バスとかマルシュルートカの行き先がグルジア文字でしか書かれていないので中々大変だ。
 なんとなくエチオピアのアムハラ文字と似ている。

 今日は地下鉄に乗って旧市街の近くまで行って来た。 トビリシの地下鉄も、他の旧ソ連圏の地下鉄と同じく地下深くまでエスカレーターで下がる。
 ちょっと驚いたのが、車両のドアが閉まる時。 「挟み殺してやるっ!」くらい気合が入っていて、バッチーン!と思いっきり閉まる。
 あれを日本のJRも導入すべきだと思います。 プルプルプルーって発車の合図が鳴ってるのに、飛び乗ろうとする人がいるでしょ? でもこのグルジア式を導入すれば完璧。 挟まれたら骨折するからねー、飛び乗るにも相当の勇気が必要ですよ。
 あとはイスタンブールの国鉄方式も導入すればさらにパワーアップ。 ホームに電車が滑り込む時に、まだ走ってるのにドアが開くからね。 発車してからドアが閉まるし。 ドアが閉まればまだマシで、偶にドアが閉まらない場合もある。 あと、基本的に夏は暑いからドアは閉まらないそうです。
 JRにもこれくらいやって欲しいものです。 通勤途中のサラリーマンも電車の乗り方一つで、無事に会社に辿り着けるか?怪我して病院に行くか?下手したら死ぬか?の究極の選択を毎朝選べて、毎日の決まりきった生活の中でプチ冒険が出来ちゃう。

 旧市街を見にやって来たはずだったが、何となく観光する気が無くなったので、メテヒ教会辺りをブラブラして帰ってきちゃった。 メテヒ教会から旧市街までは徒歩数分なんだけど。
 写真は、トビリシ市内を南北に走るムトゥクヴァリ川と、川沿いに建つメテヒ教会。

旅の出費
食費: 1.5ラリ
タバコ: 2.5ラリ
ビール: 1.3ラリ
外食代: 4.1ラリ
地下鉄: 0.4ラリ
合計: 9.8ラリ(約670円)

グルジア料理『オーストリ』
2007年4月1日(日)
快晴で観光日和な一日の出来事

 写真は『オーストリ』という料理だ。 肉入りスープのことで、ちょっとだけスパイシーでパクチーが効いた濃厚な味がする。 コリアンダーが嫌いな人には微妙な味かも知れないが、パクチー(コリアンダー)が好きな俺には美味しい味だ。
 オーストリとパンがセットになって2.5ラリ(約170円)。 ビールを頼んでも、たったの280円。
 旧ソ連圏でもグルジア料理は人気があるそうだ。 それだけ料理の種類も多彩で味も美味しい。

 一昨日はどんよりした曇り空だったのが、昨日今日と快晴。 そんな快晴の日に限って寝坊する。
 ホントは、昨日も今日も朝9時に起きて観光しようと思っていたのだが、実際に起きれたのは昼12時過ぎ。 少しベッドの上でボケーっとした後、朝食兼昼食を食ってから観光しようと思っていても、食堂のおばちゃんに「ピーヴァ(ビール)飲むか?」と聞かれてしまえば、“Noと言えない日本人”よろしく「うん!」と注文してしまい、ついつい寝起きだけどホロ酔い気味になって、観光する気を失くす。
 一応、散歩はしてみるのだが、途中ですぐに飽きちゃって戻ってくる。 今日もすぐに帰ってきて洗濯しちゃいました。
 明日こそは観光しようと心に決める毎日です。

 グルジアで何を観光するのか? ここで公言しておかないと、行動しない気がするので言っちゃいます。
 まずは、ゴリという町に行ってスターリン像を見ます。 それからグルジア軍道を北上してロシアとの国境沿い大カフカス山脈をフラフラして「もう少し北上すればチェチェン共和国なのに・・・」と思ったりして遊んで、さらには自称南オセチア共和国に行ってプチ・ロシア観光をします。
 自称アブハジア共和国にほど近いメスティアという町も景色がとっても良いらしいけど、東から来たのにまた東に戻るのが面倒なので行きません。

旅の出費
食費: 1ラリ
ビール: 1.3ラリ
外食代: 4.3ラリ
合計: 6.6ラリ(約450円)





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