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アジア横断シルクロード日記


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現在地はどこなの?

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クムスを飲む老人たち in ソン・キョル
2007年7月30日(月)
ジハード合戦

 あ〜、動くの面倒くさいな・・・
 本当は今週にビシュケクの安宿巡りをするつもりだったのだが、広げた荷物をまとめてまで移動する気がおきない。 一度チェックインしてしまうと、そのままズルズルとはまってしまうパターンである。

 キルギス人の大半はスンニ派イスラム教徒らしいが、ウズベキスタンよりも世俗化している雰囲気で、未だにアザーンを数回しか聞いたことがない。
 それでも地域によっては“イスラム過激派”も存在しているらしい。
 キルギス南部にある第二の都市オシュの直ぐ北に、第三の都市ジャララバードがある。 ここで、去年7月にキルギス治安機関とイスラム過激派が銃撃戦になり、過激派5人が射殺されたらしい。
 その結果、キルギスの非合法政党『ヒズブト・タフリル』がキルギス治安機関に対してジハードを宣言。
 それに対し、キルギス治安機関も対抗してジハードを宣言したそうだ。

 あれ? 『ジハード』って“非”イスラム教徒に対する聖戦を意味するものだから、過激派、穏健派を問わずお互いイスラム教徒同士でのジハードは成り立たないはずだけど・・・
 ものすごーく適当なんだろうなぁ〜。

 写真は、クムス(馬乳酒)を飲む帽子族とその仲間たちの面々。 皆で回し飲みする。

旅の出費
タバコ: 32ソム
コントローラ: 350ソム
合計: 382ソム(約1,210円)

帽子族、ぬかるみにはまる
2007年7月31日(火)
ビシュケク場所・勝ち越し

 今日の外出はただの1回。
 この1回で、俺は全ての気力を使い果たし疲労困憊して帰って来た。 1日の仕事を終えた感の清々しい疲労感とは別の、重い疲労感に襲われていたが、仕事を終えたことに変わりはない。

 第4回目となるカジノ出陣は、夕方4時半。 そこから5時間以上に渡って椅子に座り続けた。
 先々週に初陣した際は25USドルの勝ち。 先週の金曜日は±ゼロ、2日後の日曜日は100USドルの負け。 そんなわけで、現在は75USドルを負けている。
 この75USドルの負けを取り返さないことには、ビシュケクを出るに出られない。
 背水の陣である。

 まず最初に迷ったことは、軍資金を幾ら持って行くか? 75USドルを勝つために100USドルの軍資金しか持って行かなかった場合は75%の勝ちを出さなければならないが、200USドル持って行き、かつ1回の掛け金も倍にすれば半分の37.5%の勝ちで済む。
 しかし、もしも負けた場合は・・・

 結局、200USドルを持って行った。
 場を立ててもらい、ブラックジャック開始。 すると、開始早々に275USドルになった。 ところが、ここがギャンブルの恐ろしいところ。 『もう少し遊ぼうかな?』と思って続けると、あっと言う間に手持ち100USドルまで減ってしまった。
 やばい・・・と、続けている間にまた275USドルに戻す。 「さぁ、今が止める時です」と天使の囁きが聞こえたが、悪魔が「もう少し続ければ300USドルに増やせるかも」と囁きやがり、意思の固い堅実な俺はあっさりと悪魔の意見になびいてしまった。
 すると、減る減る! 面白いくらいに減って、手持ちが25USドルを切った。

 ものすごーく心臓に悪い。
 現在、合計で75USドルの負け。 でも、今日200USドルを負けたら合計275USドルになってしまう・・・と計算すると、ドキドキして冷や汗ダラダラである。
 ここからはマシーンと化してゲームを進める。 頭に入っている『ブラックジャックの基本戦略テーブル』通りにプレイし、いちいち一喜一憂しないことにした。
 5時間以上も椅子に座り続け、尻が痛くてソワソワし出して来た頃、ついに手持ちが285USドルになった。

 「止めます!」
 高らかに宣言し、戦線離脱。 今回85USドルを勝ち、これで合計10USドルの勝ちに戻した。
 たったの10USドルの勝ちだが、勝ちは勝ちである。 10USドルでも負けていれば気分が悪いが、4日間に渡ってゲームをして、その間にジュースやらタバコをもらった上に、10USドルのお小遣いを貰ったと思えば充分である。
 だが、もうビシュケクではカジノには行かない。

 今回ビシュケクで通ったカジノは、ハイアット・ホテルの中にある。
 テーブルが10台ちょっと、スロットが7〜8台しかない小さなカジノだ。 ハイアット内にあるのだがドレスコードがなく、Tシャツにジーンズでも入ることが出来る。
 そして、このカジノの良かった点はディーラーが素人であること。 基本的にブラックジャックの場合は、インチキをしていない限り、ディーラーが素人だろうが玄人だろうが関係ないが、“ほのぼの雰囲気”は大切である。
 何が素人か?と言えば、足し算が出来ないのだ。 プレイヤーがディーラーよりも勝っているのにチップを取り上げようとしたり、負けているのに払い戻そうとしたりする。 さらには、ディーラーは数字の合計が16以上になるまで必ずカードを引かなければならず、逆に17以上になった場合は必ず引くのを止めるのだが、手持ちが17になっているのにもう一枚引いてしまったりする。
 だから、なぜか客であるプレイヤーが計算して教えてあげるという、変な関係になっていた。

 そして、もうひとつ良かった点は、ディーラーのお姉さんにセクシー系が多いこと。 俺はディーラーよりもウエイトレスの方が良かったが、ウエイトレスは超ミニスカートに網タイツで「足、長っ!!」と叫びたくなるようなロシア系お姉さんだった。

 写真は、泥道で車がスリップして動かなくなってしまった帽子族の面々。

旅の出費
ビール: 25ソム
合計: 25ソム(約80円)

アル中親父 in ビシュケク
2007年8月1日(水)
サマゴーン

 ロシア語の『サマゴーン』を日本語に訳せば、自家製酒とか密造酒になる。
 アルコール度は高めで、ウイスキーのような芋焼酎のような感じで好きな人には好きな味だ。

 宿の直ぐ近くの商店でもサマゴーンを売っており、100ml当たり5ソム(約16円)で買える。 1リットル買ったところで、たったの160円である。
 何か容器に入って売られているわけではないので、サマゴーンを買いに行く時は空ペットボトルを持って行く。
 当然のごとく、この安さで酒を飲めるわけだから、アル中が多い。 昼間っから道路で睡眠中の方々を見かける(写真)のも、半分はサマゴーンのせいだと思っている。 ビールではここまでベロベロになれない。 もう半分はウォッカのせいである。

 サマゴーンとビールのちゃんぽんは、安く早く酔えるということで学生、貧乏人に人気らしいが、この前はサマゴーンとウォッカをちゃんぽんにして飲んでみた。
 一口飲んだ感想は、「や、やばい・・・」
 コップ1杯全部飲んだら、確実に吐きそうな気配がプンプンする強力アルコール飲料の完成である。
 自暴自棄になった時にしか出番がなさそうだ。

 ついでにウォッカについても一つ。
 ウォッカをキリル文字で書けばВодка(ヴォートカ)になる。 ラテン文字に直せばVodka。 ところが、『お水』の事はキリル文字でВода(ヴォーダ)、ラテン文字に直せばVoda。
 実は、『ウォッカ』という単語はニュアンス的には“お水ちゃん”という意味がある。 お水(ヴォーダ)をカワイイ感じで言っただけであって、決して水商売の女性を指したものではない。
 しかし、アルコール度40%〜90%の酒を「お水ちゃん」と命名してしまう辺りが、さすが露助である。

 今日は酒の話題しかしていないが、俺は決してアル中ではない。
 ギャンブル&酒の話題が連日で続いたら、ダメ男に誤解される危険性があるな・・・ そろそろ、いつものような爽やか日記に戻さないといけないようだ。

旅の出費
食費: 69ソム
ビール: 75ソム
外食代: 135ソム
合計: 279ソム(約890円)

ビシュケクの妖精たち
2007年8月2日(木)
ビシュケク事件簿・犯人を捕まえろ!

 数週間前、ビシュケク市内にある『南旅館』という安宿で、ある日本人旅行者が7千USドル(約84万円)を盗まれた。
 俺はそんな大金を持っていたこと自体に驚いたが、いずれにしても盗まれた。
 そして、その後に別な安宿で他の旅行者が数百USドルを盗まれた。

 別々の宿で起こった盗難事件だが、実は共通点があり、それぞれ盗難が起った日に同一人物が宿に泊まっていたことが判明。
 容疑者になった。

 容疑者は、中国人3人とロシア人1人の4人組。
 ん? 俺、彼らを知っているぞ。 2週間くらい前に、俺が泊まっている宿に来ました。 でも空きベッドがなかったから、俺が断った。
 『中国人バックパッカーなんて珍しいな、ちんちゃんちょーん! ひーほー!』と思ったから、はっきりと覚えている。

 が、俺が見ても“旅行者”だと思っていたこの4人組。 実はビシュケク在住なんだそうだ。 こりゃ、明らかに怪しいですな・・・ 在住のくせに、いかにも旅行者を装って安宿を泊まり歩く理由が分からない。
 盗難事件があった宿と、容疑者4人組と、警察とでの3者面談が設定されたらしいが、容疑者4人組は話し合いをドタキャン。 携帯電話の番号まで調べがついているらしいが、電話しても出ないそうだ。
 状況は明らかに4人組に不利である。 限りなく黒に近い容疑者だが、でも犯行を立証出来ない限り彼らを逮捕するのは難しいだろう。 刃物でバックパックを切ってお金を盗む手口らしいが、指紋照合でもしてバックパックから彼らの指紋が出てくれば話は別だけど。

 しかも、彼らは「日本人の(フルネームで)何々と知り合いだ」などと言って歩いているらしいが、その何々さんは俺の知り合いであり、彼は4人組とは全くもって面識がない。 勝手に名前を使われている状態だ。
 実在する旅行者の名前を出して、いかにも自分達も旅行者であるかのような安心感を他の旅行者に与えるための作戦であろう。

 ただ、ビシュケクでは彼らの情報が回ってしまって、彼ら自身も身動きが取れない状況だ。
 もしも、また同じような犯行を計画しているのであれば、ウズベキスタンの安宿巡りをすることは必至である。
 そんなわけで、中国人3人(男1人、女2人)、ロシア人1人(男)には要注意。 ちなみに、ロシア人は全く言葉を発しない。 見た目が西洋人なので、多分話すとロシア人とばれると思って話さないのだろう。

 もし、俺が泊まっている宿に空きベッドがあって、彼らが泊まったとしたら・・・
 パソコンやら貴重品やらをベッドの回りに出しっぱなしで散乱させている俺は今頃泣いていたかも知れない。

旅の出費
食費: 37ソム
バス代: 6ソム
ビール: 25ソム
インターネット: 56ソム
合計: 124ソム(約390円)

キルギスの救急車
2007年8月3日(金)
末期症状

 あまりに何もしていないから、今日なにをしたのか?すら思い出せない。
 多分、近くの商店(徒歩3分)に行ったのが、今日の最初で最後の外出になったはず。
 最近は末期の『面倒臭い病』に罹っており、インターネットカフェに行くことすら相当な気合を要する。 歩いて行くことなどもっての他、マルシュルートカに乗って行くのすら「面倒くせー!」と思ってしまう有様である。

 そういえば、前々から「ビシュケクの安宿巡りをする」と公言していたが、多分そんなことやりません。 先方がタクシーで迎えに来てくれるというのなら少しは考えるけど。
 あー、カザフスタンに移動する気がおきん! 誰か、俺をおんぶして行ってくれ・・・

 写真は、キルギスの救急車。

旅の出費
記憶なし

オシュ・バザール
2007年8月4日(土)
アフガン・マジック

 久しぶりにオシュ・バザールに行った。
 バザール内をウロウロしたついでに、両替をすることにした。 実はオシュ・バザールの両替所はビシュケク市内で一番レートが良い。
 ただ、毎回トラブルが起こるので多少レートは悪くてもオシュ・バザール以外で両替した方が無難というのが一般的な意見だ。
 そして、俺もその意見に同意する。

 今までに2回オシュ・バザールで両替したことがあり、今日は今までとは違う両替屋で両替してみたが、結論はオシュ・バザール内の両替屋はどこもカスである。
 奴らは“アフガン・マジック”を使う。

 例えば、今日の為替レートは1USドル=37.8ソムだった。 100USドルを両替しようとしたので、俺の受け取る額は3,780ソムになる。 俺は20ソムを彼らに渡し、「3,800ソムをよこせ」と言った。
 キルギスには1,000ソム札があるのだが、オシュ・バザール内の両替屋は必ず200ソム札や100ソム札で渡してくる。 なぜなら、細かいお金で渡した方が客が数えづらいからである。
 今回も100ソム札で出してきた。

 相手は、俺の目の前でお札を38まで数えポンッと俺の前に差し出した。
 ところが俺が数えてみると、37枚しかない。
 「おいおい、足りないですよ」
 エッと驚いたような、鼻くそレベルな演技をしながら相手は「もう一度数える」と俺からお金を奪い取った。
 そして、もう一度俺の目の前でお札を37まで数え「あー、足りなかったね」と、わざとらしく1枚足して再び俺の前に差し出した。

 ちなみに、いつも相手が数えている時は俺はボーっと他の場所を見ている。 どうせインチキをするのだから、見ていても無駄である。
 再び差し出されたお金を数えてみると、あらまぁ〜28枚しかない。
 これがアフガン・マジックである。
 多分、彼が数えているのを一生懸命に見ていたとしても気付かなかったであろう。 だから、最初っから見ておく必要などないのだ。 必ず“毎回”自分で数えるのが鉄則である。

 「おやおや、もう10枚足りませんよぉー」
 指摘すると、相手は俺のドルを両替することを諦めた。 「他に行ってくれ」と言う。
 なぜか?と言うと、オシュ・バザール内の両替屋はインチキをするから他よりも良い両替レートに設定している。 だから表示しているレート通りに、きちんと客に渡していたら儲けが少ないのだ。
 結局、他の両替屋で1USドル=37.7ソムで換えた。 そこは500ソム札で渡してきたので、計算が簡単だったし、一発でちょうどの額を渡してきた。

 ちなみに、ウズベキスタンの最高額紙幣は100円以下のため、1万円を両替するとかなりの厚みになり数え難い。 たまに10円札で1万円分を渡そうとする輩もいるので、一言「お前は馬鹿ですか?」と聞いてあげよう。
 かなり面倒だが、ウズベキスタンでもお金をきちんと数えないと、80%の確率で足りていない。
 国立銀行と言えど、信用してはいけない。 わざとお金を抜いて渡すから。
 『疑心暗鬼』
 素敵な四文字熟語である。

旅の出費
食費: 65ソム
バス代: 8ソム
タバコ: 290ソム
ビール: 140ソム
生活用品: 35ソム
合計: 538ソム(約1,710円)

フレーム
2007年8月5日(日)
免疫力低下

 今日は夜中の11時過ぎに初外出。 ウォッカを買いに出た以外は、外出しませんでした。
 だって、やる事がないから。

 しかーし、考えればカザフスタンのビザは先月17日から始まっており、今月16日には切れる。
 ついに移動の日が間近に迫ってきたようだ。
 よしっ! 来週の水曜日にはカザフスタンのアルマティに向かって旅立ちます。
 90%の確率で、絶対に。

 ただ心配なのが、この1ヶ月以上をあまりにダラダラ生活していた為、免疫が失われてしまっていることだ。
 値段を吹っ掛けられても、ヘロヘロと払ってしまいそうである。 下手をすれば、あまりの面倒臭さに「旅なんて止〜めた!」とリタイアする可能性すらある。
 基本的にぼることをしないグルジアから、基本的に鬼のようにぼるアゼルバイジャンに、免疫が消えた頃に遊びに行って全っ然楽しくなかった経験を踏まえると、グルジアと同じような感じのキルギスから、アゼルバイジャンに似てるカザフスタンに行くのには勇気がいる。

 毎度のことながら、1ヶ月前後を同じ場所で過ごした後に移動する時は、初めて海外に行くかのようなドキドキ感を覚える。
 旅の仕方を忘れてしまった。
 っていうか、旅って面倒くせー。

旅の出費
食費: 60ソム
ウォッカ: 25ソム
合計: 85ソム(約270円)





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