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徒然日記48


働く男
 BIGの当選金6億円に託していた俺の収入構想は呆気なく消え去り、仕方がないので『プチ破産』から脱却して『破産もどき』まで回復すべく、お仕事を始めた。
 といっても短期だけど。

 スーツを着て、看板を持って、ボケーッと立っているだけという、頭の良い人にしか出来ない、生産性の高いお仕事である。
 しかーし、そもそもの看板の前を通る人が非常に少ないため、基本は『孤独との戦い』なのだ。

 通りを挟んだ向かい側の通路には鬼のように人がウジャウジャいるというのに・・・
 せめて、立ち位置を若干変えるだけで看板の有効性が飛躍的に向上すると思うのだが、「ここから動くな」と立ち位置を指定されているし、わざわざ自分から状況改善を申告する必要もあるまい。

 そもそも俺はバイトの身であり、会社組織の中では底辺に位置するのだ。 軍隊よろしく、正社員のお兄さんの言っていることを素直に聞いておけばいいのだ。
 その正社員のお兄さんも、事前に作られたマニュアルの通りに指示しているに過ぎない。 現場をちょっと見れば、明らかに立ち位置を若干変えた方が良いと思うはずなのだが、何も気付かないらしい。

 マニュアル化の弊害ですね。
 己の思考を失い、マニュアル通りに物事を遂行しようと全力を尽くすお兄さん。 「出世したかったら、マニュアル+αの思考能力が必要かも・・・」と思ったが、改めて気付いてみれば俺はタダのバイトの身であった。
 上司に意見を物申すなど、軍隊ではあるまじき行動である。
 黙っておこう。


 その仕事のハードさゆえか?40分働いたら、40分の休憩があるというこき使われ方をされ、時給1200円+昼飯付き+交通費1000円/日である。
 もちろん、休憩時間中も時給は発生している。

 こういうのを何ていうか、知ってますか?
 人件費の無駄遣いって言うんです。

 拘束時間9時間の内、少なくとも4時間半は休憩ということになる。 おかげで、本を1冊読破し、今は2冊目に入った。
 残りの4時間半はボケーッと考え事。 「こんなマーケティング・リサーチ会社を作ったら面白いかも?」などと、ちょっとしたアイデアが生まれたのだが、そこにどんな需要があるのか?答えが見付からず、1日中考えていた。
 たまに声を掛けられても、外人に「今、何時ですか?」とか、観光客に「駅はどこですか?」とか、「この近くにコンビニありますか?」とか、どれも関係のないことばかり・・・
 時間くらいは答えられるが、俺も地元民じゃないんでね。
 「さぁー、どこでしょう?」と、一緒に悩むしかないのである。

 でも意外と立ってるだけってしんどい・・・
 バイト先にもいるが、ただ立ってるだけの警備員のおっさんとか大変だと思うよ。
 1日中ひたすら立っているだけで、自分の仕事の目標を見失いそうな警備員に、いきなり背後から殴りかかったりしたら、それこそ「待ってました!」くらいの気合の入り方で反撃してきそうで怖い。
 突然目標を与えてしまうと、水を得た魚のように目が活き活きしちゃいそうである。

 やっぱり警備員ってのは、緊張感を維持するのが大変なんじゃないでしょうか?
 たまーに、AK-47突撃銃で突撃してあげるくらいしてあげないと、緊張感は維持出来ないでしょー? いつ襲ってくるか?という緊張感があって初めて警備員も仕事にやりがいを感じられると思うのですが。


 まぁ、でも秋葉原の無差別殺傷事件のように日本でも予測出来ない事態が起こるわけで・・・
 あれは、南アフリカのニュース・サイトでもトップニュースになってましたよ。
 精神力の弱い男が増えましたね、日本も。

 「いつ仕事がなくなるか分からない不安」と、自分への劣等感から、社会を嫌いになって殺そうと思ったぁ??
 はぁ〜 また甘っちょろい考えですな。 俺なんて3年半以上仕事がないって! お前の方が収入あるだけマシ。
 まぁ、劣等感を抱くのも勝手だし、社会を嫌いになるのも勝手だけど、その怒りを『単身ソマリアに渡って発散させた』とか、『単身北朝鮮に渡って政府転覆を画策した』とかならまだしも・・・
 所詮、肝っ玉も人間も小さい男だったようで。

 男が捕まった時の映像を見ていて、なんか知らないけど『日本』を感じてしまった。
 制服警察一人に取り押さえられていた時、遠目に野次馬が見えたのだが、あれがアフリカだったら・・・
 国にもよるが、まず100%地元住民に集団リンチされて殺害されているはず。
 だって、警官一人に対してあの野次馬の数ですよ? 事件に怒った地元住民が暴徒化して男に集団リンチを加えても警官が止められるわけがない。
 変な所で法治国家『日本』だな・・・と感心して見ていました。

 市場でひったくりをしただけで、捕まったら回りの皆に集団リンチされて殺される国(ケニアとかもそう)で、あれだけのチャンスがあったら男を生きて帰すことはありえないでしょー。 
 大抵の場合は、警官が到着する前に集団リンチで殺されている場合がほとんどだけど、最初に警官が捕まえても怒れる住民に引き渡して集団リンチを黙認する場合もある。 最後は、ひったくりの死体を引き取って「被疑者死亡」として扱うだけ。
 シンプルです。
 だから、ひったくりも文字通り必死で、武装しているのだ。

 まぁ、集団リンチが良いか悪いかは別問題だけど、あの事件も日本という生やさしい国で起こった、生やさしい考えの男が引き起こした悲劇なのかな?

 あの男のような人間が増えると、極悪な治安を誇る南アフリカよりも危険だと思う。
 南アフリカの場合、襲ってくる奴には意図がある。 強盗なら金品、強姦魔なら強姦という意図がある。
 でも、「社会が嫌になった」って襲ってこられてもねー・・・

 「テメエの問題はテメエで解決してくれ」としか言えん。




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