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徒然日記34


人権問題に鋭く切り込む
 前回の日記に、タイでトラの檻に入れられている黒人の話を書いたが、タイという国は所詮そんなもんである。

 「タイ人の全てが」というつもりは更々ないが、自分たちが浅黒いというコンプレックスを持ちながらも、自分たちよりさらに黒い人種には容赦ない差別意識を持つ人もかなり多い。
 別に黒人だけではない。
 「これは日本ではアウトだろ・・・」という事は他にもある。

 バンコクのプララーム9沿いにお笑いカフェがある。
 店の名前はもう忘れた。 確か・・・プラカノンからラムカムヘンに抜ける通りと、プララーム9の交差点にあった気がするが、頭の中にあったあそこら辺の地図も徐々に曖昧になってきた。

 このお笑いカフェに行けば、テレビにも出ているお笑い芸人たちのショーを見ることが出来る。
 彼らのお笑いのパターンは、2種類しかない。

 1.ど下ネタ
 2.身体障害者をいじる(または、精神障害者のマネをする)

 もう、これにはタイ人も大爆笑である。 ウッヒヒヒ!

 ・・・・・ヒ?

 日本人なら人権活動家じゃなかったとしても、それを見て爆笑をする人は稀だろう。 その笑いのツボは、日本人的にはグレーを飛び越して、限りなくブラックな領域なのである。 さすがの俺でも笑いのツボが理解できず、ひたすらウィスキーに走ったのだった。
 それを言えば、トラの檻に黒人をぶち込むのもどうか?とは思うが、そこら辺は曖昧に濁しておいた方がいいかも知れん。
 いくら槍を持たせたところで許される問題でもないだろう。

 そもそも、『槍を持ってトラの檻の中で立っている黒人』の子供の人権はどーなる?
 やってる本人は自分で好きでやってるからどーでもいいが、子供には酷である。
 幼稚園で先生が、「はーい、みんなのお父さんは何のお仕事をしてるのかな〜?」と聞くことがあるかもしれない。
 「うちのパパは警察官!」とか、「ボクのパパは消防士さん!」とか答える子供たちの中で、ただ一人「えー、ワタクシの父はトラの檻の中で槍を持って立っています」と答えなければならないのだ。

 時として子供は大人以上に残酷である。
 他の園児たちに「そんな仕事、生産性ゼロだよね」とか、「檻の中で槍を持って立っている意義は何?」とか、「それは社会で真に必要とされている仕事かな?」とか「アフリカにはトラがいないのに、なんで?」と言われるに決まっているのだ。
 しかし答えられるわけがない。 だって、無意味なんだもん。
 結局、子供は泣くしかないのである。
 嗚呼なんて残酷。

 話が脱線した・・・
 身体障害者(小人病とか)のお笑い芸人は、カフェだけでなくTVにも進出している。
 自分の障害をネタに笑いを取るという行為が許される環境というのが、“暗黙のうちに触れないでおこう”とする日本の環境よりも良いのか悪いのかまでは知らん。
 ただ、同じことを日本でやった場合、日本なら絶対にウケないだろう。 そこに「この人たちは障害者で可哀相だから、笑ってはいけないんだ」という論理が働いているのであれば、それはタイと正反対だけど同じ次元だと思うけど。

 ちなみに、タイではTVでもカフェでもそうだが、お笑いがボケるとドラムを『デケデンっ!』と鳴らす。
 お笑いの後ろに必ずバンドがいて、ボケるとドラムを鳴らし、ツッコむとシンバルを鳴らし、最後はタイ演歌で踊り出すというパターンが一元化していて、見てるとイッライラしてくるんですけど。


 さらにディープな部分まで人権問題について掘り下げてみよう。

 なるべくオブラートに包んだつもりだが、俺の表現力ではこれ以上は上品に書けないのでご容赦頂きたい。
 これを読んで傷付いた人がいても、俺は責任を取らない。

 ここのお笑いカフェのトイレがやばい。
 バンコク在住で、まだここのトイレを経験していない方は今週末にでも行ってみましょう。
 女性用のトイレの方は知らん。 ただ、男性用のトイレには蝶ネクタイを締めた奴らが異様に沢山いる。
 こいつらがやばい!

 バンコクにある大抵の“夜のお店”のトイレにも同属の奴らがいるのは承知だ。
 男が用を済ませて洗面台の前に立つと、蛇口をひねってくれる人たちである。
 そして、手を洗い終わった後はサッとおしぼりを手渡してくれ、最後はトイレを出る時にドアを開けてくれる。
 結局、それで貰えるチップで生計を立てている超うっとおしい奴らがタイの夜のお店のトイレにいるのだ。

 だが、プララーム9のお笑いカフェにいる便所マンたちは、まずその人数からして他を凌駕している。
 一便器一人である!
 もう、この時点で超うっとおしい!! 「ここは俺の便器〜!」とか担当制になってるんじゃねーのか?

 さて、ウィスキーを飲み過ぎて膀胱パンパン状態で小便器の前に立ったあなたの背後に、スッと“その便器担当”の便所マンが忍び寄る。
 いいですか?! オシッコ中ですよ!?
 こっちはオシッコしてる最中だ!っちゅーのに、そいつはあなたの肩をグリングリン揉み出すのである。
 男なら誰しもが同意してくれると思うが、オシッコ中などという完全無防備な状態をイジられるなどということは『いじめ』以外の何物でもないのである。
 たまに、女で「えー、男の人たちの話だから感覚が分かんな〜い!」などというウブ気取りのアブラモビッチなのもいるが、じゃぁテメエが小用を足している最中に後ろからチチ揉まれたらどーなんじゃ?って話である。
 それの片手がふさがっている状態が、男バージョンだ。

 しかし・・・百歩譲って、肩揉みは許そう。

 だが、次にそいつはあなたの両腕を両脇からガシッと掴み、またまたグリングリン揉み出すのだ!
 お前はアホかっ!!
 こっちは右手でティンティンを固定してオシッコ中なのである。 グリングリンと腕を揉まれるおかげで、右手を伝ってティンティンまでもがグッリングリン暴れ馬になって、オシッコが小便器の中で上下左右に飛び跳ねるのだ。

 「お、おいっ! や、やめろ!」

 抵抗したくても、全人類にとって最も隙だらけの状況である。
 「要らん!」とか、「あっち行け!」とか言葉で伝えても、便器マンはバカだから続けるのである。
 奴らからしたら「腕を揉みほぐしてやろう」という親切心でやっているかも知れんが、やられる方にしたら暴れ馬状態のティンティンをなだめるために必死で全神経を右手に集中させるせいで、今まで以上に右手の筋肉がパンパンになるんじゃい!
 ボケがっ!

 頭の良い奴がいるとは思えない便器マンだが、目の前でオシッコ中のあなた=チップをくれる上客である。
 なるべく良いサービスをして、沢山チップをもらってやろうという低脳な考えの便器マンは、両腕を揉みほぐした後は「さらなるサービスを!」をと気合満々であなたの両足を攻めてくる。

 こちらは攻撃の前に早くオシッコが止まらないかな?とドキドキしているのだが、残念なことにウィスキーを飲み過ぎたせいか止まる気配はない。
 生理現象の宿命か? コントロール不能である。

 奴はあなたのモモの裏をグッと掴み、これまたグリングリン押してくる。 「こいつは元ムエタイ選手なんじゃねーか?」と思うほどの力強いマッサージのおかげで、あなたの体は前後に揺さぶられ、今度はティンティンどころかオシッコまでもが暴れ馬・・・
 暴れ馬になったオシッコが小便器を飛び出して、ズボンにかかったりしたら大変なことになるので、こちらも必死である。
 さらには、足をグリングリンされているおかげでズボンが便器にピトっとくっ付きそうになるのも必死に阻止しなければならない。
 いっぺんに二つの仕事をこなさなければならないハードさ。

 用が済んだ頃には、全神経を右手に集中させていたおかげで、トイレに入る前よりもクタクタになっていることだろう。
 ようやく用が済んだことと、ズボンに被害がなかったことでホッと安堵しているあなたに、便所マンはニッコニコで微笑んでくる。
 『微笑みの国 Thailand』
 しかし、目にはハッキリと「チップくれ」という強い光が宿っているのを確認できるはずだ。

 チップなんかやるわけねーし!
 誰が好き好んでオシッコ中の無防備な状態を狙っていじめてきた奴に金を払うんだ?って話である。
 ここのトイレの中では人権なんてない。 『人としての権利』の中に、誰にも邪魔をされず、静かに生理現象に身をゆだねる権利は含まれていないのか?!
 しかしそんなことはお構いなしに、便所マンたちは俺の人権に土足で踏み込んできて蹂躙していったのである。

 ヘトヘトでトイレを出てくると、ステージ上では身障者がいじられていて、会場は大爆笑の渦なのである・・・

 こんな話、ウソだと思って読んでたあなた。
 自分で行ってきてみ。 マジで超うざいから。
 もしかしたら、「この便器担当のこいつはそうでもないけど、あの便器担当のあいつはうざい」とか「あの超うざい便器マンは、お前がタイを離れた時に後を追うように辞めていった」とかあるかも知れんが、そんなことまで俺が把握しているわけがないことは断っておく。




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