正確に言うと、旅先での出来事ではないけど載せてみた。
タイ・バンコクの、スクムビット・ソイ81にある『リィエン・マンション』という所に数ヶ月住んでいたことがある。 家賃は1,700バーツ/月(約6,000円)という貧乏人用アパートだ。
ある日、夕食を食べ終わって部屋に戻ってきた俺は焦った。 いつもは財布に入れているカギがない。
どうやら部屋の中に置き忘れたまま、ロックしてしまったらしい。 ドアのカギはノブ用と南京錠用の2つ。 部屋に入れず、困ってウロウロしていると向かいの部屋のドアがガチャリと開いた。 立派なヒゲを生やしたインド人だ。
「どうした?」
状況を説明すると、彼は「もう夜は遅いから俺の部屋に泊まればいい。 明日の朝になったらカギ屋を呼べばいいじゃないか」と言う。
えー?!本当ですか?! なんて優しい人なんだろう。
お言葉に甘えて、朝までお邪魔することにした。
彼の名前はミシュラ。 この日の出来事はノートにメモってあるから確かだ。
彼は部屋で電話とファックスを使って、主に銀や船の貿易のお仕事をなされているそうだ。
自宅勤務なんて素敵じゃないですか!?
部屋には、大型テレビ、やたら大きなダブルベッド、さらにはエアコンまである! ちなみに俺の部屋には扇風機しかない。 もしかして、お金持ち?!
ミシュラはビールやウィスキーやワインを出してきて、ひたすら勧めてくれる。 やっぱり優しい人だ!
酒を飲みながら深夜まで話しをしたが、話しの流れの中でミシュラはタイ人と結婚したことがあると語ってくれた。 しかし、そのタイ人に金を散々使われた挙句に他の男のところに逃げられたらしい。
「タイ人は信用出来ない」と、盛んに言っていた。 おー、可哀相に・・・
さらに夜も更け、さらに酒が進んでくると、野郎2人ですから話題は下ネタに。
ミシュラは「俺のおちんちんは30cmある」とか、「俺は1時間はセックス出来る」とか熱く語ってくれた。 プライベートな事を赤裸々に語ってくれたのは嬉しいが、俺としては非常にリアクションに困った。
「俺なんて30mだぜ」と競うのも大人げない。
ミシュラは俺のリアクションを待っているし、何か言わないといけないと思い、必死になって俺の脳味噌内の英語辞書を調べるが適当な言葉が見付からない。
その時、ふとタイの観光促進キャッチコピーを思い出した。
『Amazing Thailand』
そうだ! 「You're amazing!」
かなり酔ってきたので寝ることにした。 やたら大きなダブルベッドなので、2人でも余裕なスペースだ。
ミシュラは向こう端に、俺はこちら端に寝て、電気を消す。
電気を消してから数分も経たない内に、ミシュラがこちら側に転がってくるではないか!
寝返りにしては回転が速過ぎると思っていると、ガバッと抱きついて来た。
おいおい、ミシュラ。 飲み過ぎなんだね。 でも残念ながら、俺は女ではない。
彼をなだめて腕の中から逃れようとするが、ミシュラは立派なヒゲを俺のうなじにジョリジョリと押し付けてくる。
さらには「Kiss me!」とキスをせがんでくる始末だ。
しかも、盛りの付いた犬のように俺の足に擦り付けてくる彼の股間は、衣服の上からでも硬くなっているのが分かるのだった。
何度も警告したが、彼は全く聴く耳を持たない。
『仏の〜』と呼ばれていたさすがの俺でも、ブチ切れた。
ミシュラの腕から逃れてベッドから起き上がり、ベッドの横のデスクからイスを掴み、ベッドの上のミシュラを抵抗しなくなるまでボッコボコに殴る。
だが悲しいかな、俺には部屋を勢いよく飛び出しても寝る場所がない。
そこで、酔っていたのも手伝い、ミシュラを床で寝かせ、俺は広いベッドを1人占めして朝まで寝た。
結局、翌朝にカギ屋さんを呼んで無事に部屋のカギを開けることが出来たのでした。
めでたし、めでたし。 |